さて今回からは皆さん大好きワインです。
ウイスキーに比べるとやはり飲む人口がかなり異なる様子。まあ、ウイスキー、アルコール強いですからねえ・・・。
お酒を飲んだことのある人で、ワインを飲んだことがないという方はゼロに近いと思います。そして葡萄から作られているということもほとんどの方は知っていることでしょう。しかしどんな地域で、どんな工程を経て作られているかということはきちんと知っている人は多くないと思います。
なので基本中の基本からお話ししていきたいと思います。
ワインの生産国
最初からこういうのも何なんですが、ワインの生産国はあげれば切りがありません。
したがって主たるところを挙げていきたいと思います。
・フランス
やはりワインといったらフランスを思い浮かべる人は多いでしょう。質・量と共に押しも押されぬワイン大国と言えます。
ワインの王と呼ばれるボルドー地方や、女王と呼ばれるブルゴーニュ地方、高級スパークリングワインで有名なシャンパーニュ地方を筆頭に、ロワール川流域地方、コート・デュ・ローヌ地方、アルザス地方、ジュラ=サヴォア地方、南西地方、プロヴァンス=コルス地方、ラングドック=ルーション地方と、個性と変化に富んだ10のエリアで構成されています。その他の国々が1〜数種類の代表的なぶどうの品種に偏りがちなのに対し、各エリアに代表的な品種があり、日本における一般的な知名度は低くともそれぞれが世界のトップレベルにあるということも特徴の一つです。ワインの銀河系軍団、それがフランスです。
・イタリア
こちらもすぐ思い浮かべるでしょう。王者たるフランスに対する最大のライバルとして毎年生産量No. 1を争っています。価格や手に入りやすさ、そして様々な格のイタリア料理店の人気と相まって、もしかすると日本人にはイタリアワインの方が馴染みがあるかもしれません。南北に長い国土のため、20の州全てでバラエティに富んだワインが生産されています。またフレーバードワインであるベルモット、酒精強化ワインであるマルサラも有名です。
・スペイン
フランス、イタリアに比べると少し見劣りするイメージがあるかもしれませんが、こちらも生産量で首位を争っています。スペインのワインは何といっても赤ワインの重さが特徴と言えそうです。フランスのスペイン国境に一番近い南西地方のワインからその傾向が見られますが、情熱的な国のイメージそのままに、血の滴る肉料理に合いそうなフルボディのワインが多く生産されています。また日本ではスペインバルの人気もあり、身近なワイン産地の一つとなっています。酒精強化ワインであるシェリーも大変有名です。
・ポルトガル
ポルトガルは通常のワインも盛んに生産されていますが、何と言っても有名なのは酒精強化ワインであるマデイラワイン、ポートワインです。ポートワインはブドウ発酵中にグレープスピリッツ(77度)を加えてから熟成させてもので、マデイラは類似の工程にプラスして熱を加えながら熟成させるという製法をとっています。双方とも超長期熟成(20〜40年)のものや、18世紀の大変貴重なボトルなどが現存しています。
・ドイツ
ドイツは国土の大部分がブドウが生産可能な北限を超えているので、ワインづくりはフランスとの国境よりの南部で行われています。以前は「糖度が高いほど格付けが高い」とする制度も相まって甘口白ワインばかりが取り上げられていましたが、近年は辛口のものや赤ワインも高評価を得るようになっています。
・オーストリア
歴史的には隣国ドイツと同じ国であった期間が長いため、ワイン産地としてのあり方はドイツに類似しています。こちらも糖度が高いほど白ワインの格付けが高くなります。ドイツよりも幾分温暖なため、赤・白ともにドイツに比べるとボリューム感のあるワインが生産されています。
・アメリカ
ほとんどの州でワインが作られていますが、代表的な産地はカリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州、ニューヨーク州です。アメリカのワインを語るときに外せないのが1976年の「パリ・テイスティング」と呼ばれる事件で、フランスワインとカリフォルニアワインの飲み比べ会(ブラインドテイスティング。銘柄を明かさずに試飲のみで点数をつけていく)があったのですが、そこで並み居るフランスの超高級ワインを押しのけて無名のカリフォルニアワインが最高得点を得るという大波乱がありました。しかもパリの地で、審査員は全員フランス人のプロというこれ以上ないアウェイの環境で、です。カリフォルニアワインと飲み比べることでフランスワインの素晴らしさがより際立つだろうくらいに思っていたかもしれません。そこにこの結果は驚天動地の出来事だったようです。それをきっかけにワインと言えばフランスそしてヨーロッパ、それ以外はとるに足りないものという考えが改められていきました。
・チリ
近年日本にとって一番馴染みのあるワインの一つがチリワインではないでしょうか。チリワインも2004年のベルリン・テイスティングにおいて「ヴィーニャ・エラスリス」というワイナリーの「ヴィニエド・チャドウィック」2000年ヴィンテージがフランス・ボルドーの「シャトー・ラフィット」、「シャトー・マルゴー」をおさえ、見事1位となるということがありました。1976年当時と違い、新世界のワインが侮れないという評価は定着していましたのでパリ・テイスティングほどのインパクトはなかったものの、それでもボルドーの一級畑(シャトー・マルゴーなどは誰でも聞いたことがあるくらい有名かと思われます)を破るというのはやはり大金星と言えるでしょう。
一方で「安価で美味しい」という評価も定着し、日本で愛される所以もそこにあるでしょう。なんと2015年にはフランス産のワインを抑え、チリワインが輸入量のNo.1となりました。
・アルゼンチン
チリと双璧をなす南米の名産地がアルゼンチンです。メンドーサという地域を中心に、マルベックという品種を使った赤ワインが代表的なものですが、このマルベックはフランス南西部においてはコットまたはオーセロワと呼ばれ、またそれを用いたワインはブラックワインと呼ばれるほど色濃く重厚なものです。
・オーストラリア
南半球最大のワイン生産地で、シラーズ(フランスにおいてはシラー)が主な品種とされています。大陸南部中央のサウスオーストラリア州が生産量の約半分を占める最大の生産地ですが、東西にも広い国土を生かし西はウェスタンオーストラリア州(主にマーガレット・リヴァー)からニューサウスウェルズ(主にハンター・ヴァレー)まで3000kmに渡ってワイン産地が点在しています。
・ニュージーランド
何と言ってもソーヴィニヨン・ブランが有名です。この品種の質の高さが評価され、 次第にニュージーランド全体が注目されるようになっていきました。ニュージーランドには北島と南島があり両方でワインが造られていますが、中でも南島のマールボロという地域がもっとも有名で最大の産地です。ソーヴィニヨン・ブランやシャルドネといった白ワイン用の品種が評価されてきましたが、近年は最も南のセントラル・オタゴという産地で造られるピノ・ノワールも世界的な評価を得ています。
・南アフリカ
フランスのロワール川流域で栽培されるシュナン・ブランがここではスティーンと呼ばれ、主な品種となっています。また黒ブドウではピノ・ノワールとサンソーという二つの品種を交配させたピノ・グリージョや、カベルネ・ソーヴィニヨンとカリニャンを交配させたルビー・カベルネなど、交配による独自品種が多く生産されていることも特徴の一つと言えます。
・日本
日本のワインは国内ですらあまり評価は高くなかったですが、2000年代に入ってから飛躍的に品質が向上し、優良なワインが造られるようになりました。山梨を筆頭に長野、北海道、山形が主な産地となっており、品種は山梨の固有品種である甲州の他、日本の気候に合わせて交配・品種改良をされたマスカット・ベーリーAなどが代表的なものです。
・その他の国々
上記には挙げませんでしたが世界三大貴腐ワインの一つであるトカイワインを擁するハンガリーや、数多くの固有品種を持つギリシャ、「聖書に登場するワイン」の産地として長い歴史のあるイスラエル、ワイン発祥の地とも言われるジョージアなど、注目すべき国々は沢山あります。
産地についてさらっと書くだけでもかなり長くなってしまいました。次回はワイン製造方法についてさらっと?書こうと思います!
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