居心地の良い場所というのは、言い換えれば新たな刺激のない場所とも言えます。
楽にできる筋トレでは筋肉は成長しません。
できるかどうかギリギリのところを、なんとか乗り越える。もし失敗しても、再挑戦し乗り越える。そうやって筋肉は形作られていく。
精神もそうです。皆が自分の味方をしてくれる、誰にも注意されたり叱られたり、あるいは恥をかかない場所にいては成熟した大人になることはできません。
常に、「ひとつ上の自分」を目指して居心地のいい環境から一歩でもいいから外に出る習慣をつけましょう。そこで大事なのは「誰かより上の自分」ではないということ。あくまで比較対象は「今」あるいは「過去」の自分であるべきです。他人との比較などはまったく無意味です。
もちろん、居心地の良い環境の外では味方の数はぐっと減るし、自分のやり方が通用しない場合もあります。失敗することもあるでしょう。そんな時は居心地のよい場所に一旦戻って休むのもいいかもしれません。しかし回復したらまた挑戦です。そして徐々にアウェイでの戦い方がわかっていき、アウェイでの勝利を手にすることができるでしょう。
アウェイでコンスタントに勝てるようになったら、そこはもう自分にとってのホームと言えます。つまり居心地のよい場所になったというわけです。ならば、そこからはもう卒業しなければなりません。また違うアウェイ戦を戦うために。
そうやって少しずつ、アウェイをホームにしていくことで自分の居場所は増えていきます。居心地の良い場所が多くあるのは決して悪いことではありません。そこに安住するのが悪いということです。ややこしい話ですが、居心地の良い場所に安住しないことで、居心地の良い場所が増えます。居心地の良い場所が多い人生は、非常に豊かなものとなるでしょう。一方居心地の良い場所に安住していてはその数が少ないままとなり、そこに頼り切った人生となります。
肝に命じておきたいのは、居心地の良い場所はやがてその機能が疲弊していくということです。
家庭でも、勝手知ったる職場でも、そこにただ安住しているのでは、次第に居場所がなくなってしまうというのは想像が付くでしょう。とすると居心地の良い場所さえ失っていくことになります。年齢が上がりいずれ老いていく中で、そういう人生が寂しいものになるのは言うまでもありません。
そこで私はバーをおすすめします。はじめてのバーはほどよくアウェイ感を感じることができますし、もちろんそこがホームになっていくのは素晴らしいことです。
ホームグラウンドのバーでもそこにいるお客様によってはアウェイな雰囲気になったりもします。狭いお店では起こりがちですね。そういったときも、どういう態度でいるのかというのが楽しみ方のひとつであると思えるようになれば、バー上級者の仲間入りと言えそうです。
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