ミクソロジーバー(Mixology Bar)とは
ミクソロジーカクテル(Mixology Cocktail)を主に提供するバーのことです。
スタッフをバーテンダーではなく、ミクソロジストと呼ぶこともあります。
バーおよびカクテルのジャンルとしては最新と言っても良く、また全国的に浸透しているかと言えばまだまだそうでもなく、東京の都心部(港区が圧倒的に多い)を除けば他の地方都市にはミクソロジー専門店は殆ど無いように思われます。
さてミクソロジーカクテルとは。
カクテルを作る時、一般的にはベースのお酒にフルーツや薬草、種子などの味がついたリキュール等を使用しますが、ミクソロジーカクテルはそういったリキュールを極力使用せず、生のフルーツや野菜、薬草、スパイス等を使用する、というのが一般的な定義のようです。しかしこれだけだと、従来のバーでも生の素材を使用したカクテルは普通に作られているので、ミクソロジーの特徴としては不十分です。
それでは素材以上に既存のカクテルやバーとの違いをもたらしているのは何かと言えば、一風変わった器具を使用する調理法と、素材の組み合わせだと思われます。
例を幾つか挙げますと、
・お酒にハーブやフルーツ、果てはベーコン、昆布などを漬け込んで味を出したものを使用している(インフュージョンカクテルというひとつのジャンルでもあります)
・果物をジュースにしたものを更に遠心分離機にかけて味を凝縮させる
・液体窒素で果物を瞬間冷凍、滋味を凝縮させる
・スモークマシンでお酒やグラスに燻香を付加させる
・パイの実を液体にする
・イングリッシュブレックファスト(卵やベーコンなど)をそのまま使用する
など、創意工夫に満ちた(あるいは、ちょっと奇抜??)ものが多くあります。
見た目も華やかなものが多く、特に女性には人気があります。
価格ですが、やはり手間がかかっていますし、生の食材の原価ですとか、設備費用等もありますので、なかなかお高めです。オーセンティックバーの平均的な価格を少し上回る程度でしょうか。その工程の多さから、どうしても提供までの時間もかかります。そして華やかさ故、男同士ではなかなか行きにくいというのが正直なところです。逆にデートには一番オススメできる形態ですね。
これからどれだけの広まりを見せるかは未知数ですが(それでも広まり始めてから10年以上経っています)、設備や技術、アイディアを生む為の知識のハードルが高いのであまり気軽に出店できるジャンルではありませんし、私個人の感覚からすると「お洒落すぎる」印象です。どういうことかというと、お洒落な場に相応のお金をかけるのがある程度当然、とされているエリアでないと逆に浮いてしまう。だから気合いの入ったデート等には良いのですが、「通う」バーとしては逆に敬遠されることも多いと思われます。東京の港区に集中しがちなのも恐らくはそういった理由もあるのではないでしょうか。ミクソロジーバーが似合うような、いわゆるセレブな夜の街(つまり、単に様々な価格帯のお店が集う繁華街ではなく、街自体が高単価の街として知られるエリア) が乏しい地方都市には、なかなか浸透する土壌がないのではないかと思います。
どちらかといえば専門店が増えるよりも、従来のショットバーなどが最新ミクソロジーカクテルの要素を設備が許す限り取り入れていく、というスタイルがより一層増えていくのではないかと考えています。
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