フレアバー(Flair Bar)とは。
バーのひとつの形態にフレアバーテンディング(Flair Bartending)というものがあります。
シェイカーやボトルを使ってパフォーマンスをしながらカクテルを作っていくことが最大の特徴です。
フレアバーの走りとなったのはやはりこの映画でしょう。
若かりしころのトム・クルーズ主演の「カクテル」(1988年公開)。
現在のフレアバーテンティングからすると多少地味ではありますが、シェイカーやボトルを回転させながらカクテルを作っていく様はやはりカッコいいですね。
この映画の影響は絶大で、現在でさえもバーテンダーというとこういう人達のことだと思っている方が一定数います。
最近ですと、お酒に火をつけたり(実はオーセンティックなレシピでもそういうものはありますが)、ボトルでジャグリングのようなことをしたり、複数人でボトルを投げたりしながらと、ますますエンタテインメント性が増していっています。
↑…これはやりすぎのような気もしますがねw
お客様を楽しませることについては非常に魅力あふれる形態のバーですが、欠点としては、出来るお酒の質があまり高くない可能性があるということでしょうか。
お酒の長所を活かしたり、より良い状態でカクテルを作っていくということに関して、時間をかけてパフォーマンスをしながらというのはどうしても不利に働きます。
しかし一方で、これもバーあるいはお酒全般に対して言えることですが、「どういう気持ちで飲むか」ということがお酒の美味い/不味いに最も関わってきます。
技術の限りを尽くして、しかしぶっきらぼうに、あるいは緊張したままで出されたそれなりに美味しいはずの一杯よりも、まず見た目で楽しませて、凄い!となってから飲む一杯の方が美味しく感じることはあると思います。
(※もちろん、ぶっきらぼうに出されて、かつ美味い!となればそれも素晴らしいことだと思います。フレアバーとオーセンティックバーは、色んな面で対照的ですね)
そこはやはりお客様の好みとその時の気分、一緒に行く人などのTPOに拠ってくると思いますので、もし足を運べる範囲内にフレアバーがあるなら、一度挑戦してみるのも楽しいと思います。
蛇足ですが、映画「カクテル」について
・主人公ブライアン・フラナガン(トム・クルーズ)のフラナガン姓は、カクテルの語源とされる逸話(諸説あり)に出てくる酒場の女主人、ベティー・フラナガンに由来するものと思われます。
・でも、主人公よりもチョイ悪アウトロー気味、ダグラス・コグランの方がバーテンダー的には憧れます。ちなみに漫画「バーテンダー」でも北方さん派です(笑)。
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