バーの愉しみ方

バー攻略法

バーを訪れる目的ってなんでしょう?

もちろんお酒を飲みたいから。

ではなぜ?

お酒を飲むならバーじゃない他のお店でもいいし、なんなら家だっていいはず。

最大の違いは、やはり雰囲気と、そこにいる人。
日常と非日常の違いといっても良いでしょう。

バーの最大の魅力は、

「普段の生活では出会わないような何かに会う」

ということです。

 その対象は人であったりお酒であったり、場面であったり経験であったり。
もし仕事や学校が終わってそのまま帰っていたら出会わなかったであろうものに出会うこと。これがバーの最大の愉しみです。

 しかし、それこそ基本的には職場や学校などを異にする人達の集まりですから、いきなりは話にくいし、共通の話題などなかなかわかりません。バーテンダーがうまく話を振ってくれることもありますが、なかなかタイミングがうまく取れないこともあります。

 そんな時のために、お酒はあります。

 普段出会わないような人と話をするときのコミュニケーションの潤滑油、それがお酒です。その潤滑油の供給であったり調整をするのがバーテンダーの役目ということですね。

 少し酔って話しやすくなるというのももちろんありますが、例えばバーで必ず共通の話題にすることができるのがお酒ということでもあります。「何飲んでるんですか?」から始まる会話もありますし、その返答がもし「あ、これノンアルなんですよ」でもいいじゃないですか。そこから「よくいらっしゃるんですか?」など、お酒からお店の話題になってもいい。お酒やお店の話題を皮切りとして、次第に話題はそれ以外に広がるはずです。

 そして、そういう会話を通して自分の知らないことを知る。それは単純にお酒の名前や味であったり、話し相手の職業の専門知識であったり、地元の美味しいものであったりします。もちろん自分の普段の生活とは全く異なる世界にいる人との話ですから、価値観が異なることも多々あります。自分とは異なる意見があってもむやみに否定したりせず、そういう考えもあるんだなと学びましょう。そしてそういう姿勢こそがいわゆる「大人の対応」であり、自分の幅を広げる手段でもあります。そうすることによって、より一層幅広い世界の人と会話ができるようになっていきます。

 すると、いつのまにか周囲からは

 博識で、でも柔軟に誰の話も聴くことができて、かつ自分の意見も持っている魅力的な人

 という評価を得ているかもしれません。

 そしてそれは一方的なものではありません。自分がそういう評価を受けるようになっていく過程で、他の人にも同じような影響を与えているものです。自分にとって当たり前、こんなの面白くも何ともないという話が、他人から見れば刺激的な話であることも多いです。

 お酒という潤滑油を介して、色んな人とコミュニケーションをとり、お互いの人間の幅が広がっていく。

 これが私の思う、バーの愉しみ方です。

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