バーのマナー

バーのマナー

バーのマナー。

バーを訪れたことのない方にとっては、最も気になることかもしれません。

これまでの記事でもマナーっぽい要素に触れることがありましたが、それらは「人として…」「社会人として…」「大人として…」と言えそうな、どちらかというと一般社会のマナーにも言えることが多かったように思います。

 なので今回は一般社会ではないバーならではのもの、あるいは一般社会にも言えるけれどもバーでは特に、というものを挙げていきたいと思います。

1、バーテンダーを独占してはいけない

 気の利いたバー本にはこれが書いてあります。独占ってどういう意味でしょうか。

「〇〇さんはアタシのものだからアナタ達は話しかけないで!!!」

・・・ということではありません。まあ多少そういうことでもありますがそれ以上になかなか理解しにくい要素があるので以下に説明を書きます。

 バーは少人数で営業しています。1人であることも多いです。そして複数人いたとしても、それぞれの役割分担があったり、持っている顧客が違ったり、作れる(お客様に提供することが許されている)カクテル等が違ったりします。

それを踏まえた上で例を挙げますと、

 満席やそれに近い混雑した状態で、作ったことのない実験的なカクテルや、店の普段のキャパシティ以上に手のかかるもの、バーテンダーをわざと困らせるような注文をする。これがバーテンダーを独占するということです。

 バーテンダーはお客様全員のために仕事をしています。そして可能な限り全員を平等にサービスしたいと思っています。だから誰かひとり(のオーダー)にかかりっきりになるわけにはいかないのです。

  もうひとつ例をあげますと、ひとりで連続で何回もオーダーをする、というのがあります。特に他のお客様がオーダーしない状況であればむしろお店側としてはありがたいことですが、ひとりが連続でオーダーすることで他のお客様がオーダーをしにくい状況を作っているとすればそれは問題です。数多く飲むのは泥酔したり他のお客様の迷惑になったりしない限り良いことですが、周りのお客様を気遣う余裕も欲しいところです。

 3つ目の例はオーダーに関することではなく、お喋りの問題です。

バーテンダーと会話をするのは何の問題もないのですが、あまりにお喋りがすぎてバーテンダーが他のお客様と会話できなかったり、やはり他のお客様がオーダーしにくい状況になるのはまずいです。多くのバーテンダーはひとりのお客様と会話をしていても、お店全体に気を配っています。会話しながらも、グラスの底に氷が当たった音=飲み物がなくなった音を聞き分けていたりします。それを「会話に集中していない」とか「会話を切ってオーダーとるな」というようには思わないで欲しいと思います。

 どれも共通するのは「バーテンダーの行動を制限する、自分のもとに縛り付ける」ということです。

 

 これらは「バーテンダーの独占」に関する話なので、もちろん自分(達のグループ)以外にお客様がいなければ独占という状態自体が生まれません。一つ目にあげた、いわゆる「面倒」なオーダーでも意欲的なバーテンダーならやってみようとなるかもしれません。重要なのはお客様は自分だけではない、バーテンダーは皆のもの、という意識です。

2、バッグ等の荷物をカウンターに置いてはいけない

 残念ですが、これをやるひと結構います。

  バーのカウンターも調理そして飲食をするところです。そこにもしかしたら地面に置いたかもしれないであろう荷物を置くというのは衛生的によくないです。

 レストランに行ったときに案内されたテーブル、あるいは自宅のダイニングテーブルでも茶の間のコタツの天板でもいいですが、鞄置きますか?置かない人がほとんどでしょう。それと同じことです。

 

 またカウンター上に鞄があると提供時邪魔になります。隣の席と仕切られているわけではないですから、隣のお客様の邪魔にもなります。そうした中でグラスを倒して鞄に飲み物がこぼれたらどうしましょう。自分でこぼしたのなら自業自得ですが、隣の方であればトラブルの元になりますよね。だからそうした無用のトラブルを防ぐためにも鞄はカウンターに置くべきではありません。

 

 以上は衛生面と機能面からの話でしたが、バーですともう少し違った側面もあります。

 バーにおけるカウンターの重要性です。
 バーのカウンターは、そのバーの顔でありシンボルです。

 思い浮かべてください。レストランや居酒屋、あるいはクラブ、キャバクラなどの場合、お店を紹介する写真で店内写真がある場合、殆どはテーブル席の写真がメインとなります。カウンターの写真がないところも珍しくありません。

 しかしバーの場合、カウンターの写真がないお店は皆無といっていいでしょう。テーブル席があればその写真「も」あるといった程度です。

 カウンターがあるからこそバーなのです。以下の記事に詳しいですが、「バー」が、バーたる所以です。

Barってどんなところ?

  そこに何の遠慮もなく荷物を置かれると、お店の尊厳を蔑ろにされたような気にもなります。お墓に荷物乗せたみたいな。大げさかもしれませんが、バーのカウンターは意外に神聖なものだと思っていた方が良いでしょう。

 携帯電話や財布もカウンターに置きがちですが、これが咎められることはあまりありません。しかしできるならそれらも置かない方が良いです。

 ちなみにこのマナーはお寿司屋さんのカウンターでも同じですので応用していただければと思います。

3、トイレを占拠してはいけない

 トイレを占拠というと、私などは完全に飲みすぎで嘔吐というシチュエーションが真っ先に思い浮かぶのですが(苦笑)、それだけではありません。

 というのも、バーのトイレは大体個室ひとつ。2つ以上で男女別なんてところは少数派ですし、そうだったとしても客数あたりの必要数ということならひとつでも2つ以上でも大差ありません。

トイレの占拠の仕方で上記の例の他にあるのは、

 ・個室で電話をしている

 ・個室で長時間化粧を直している

などです。これらもやはり、他のお客様の迷惑を考えない行為ということでマナー違反と言えるでしょう。

 もちろん最初に挙げた嘔吐で占拠は最悪のパターンのひとつです。なぜなら電話や化粧は注意すれば渋々でも出てくることができますが、嘔吐ですとなかなか出てこられないわ個室内が汚れている可能性が高いわ次に入ろうとしていたお客様は著しく不快になるわで散々なことになります。店全体としてもザワつきます。

 バーで吐くまで飲むのは本当に御法度ですので、おやめください(切実)。
 …まあその辺のコントロールも、バーテンダーの仕事ではありますが。

4.携帯電話は店の外で。

 例外はあれど、バーは基本的にあまり広くありません。電車内同様不特定多数(多数といってもたかが知れていますが)の人間が集まる狭い空間ですので、携帯電話で話されると不快に思う方が多いです。特にバーは静かに営業している場合も多いので、その場合は尚更です。カウンター席で仕事の電話をしていて大声で説教を始める、などは最悪です。

 電話をするときはバーテンダーに一言断ってから一旦店の外に出てするのが良いでしょう。上記のようにトイレの個室内でしてはいけません。ただし比較的広いお店でトイレの扉の前に手洗い場などの空間がある場合はそこで小声で話すのはアリかとは思いますが、それでもトイレを行き来する人の邪魔になりがちなので、外に出るのが無難ではあります。店の入り口が直接エレベーターになっていて難しいなどの場合でも、極力「他のお客様の邪魔にならない」ことを心がけましょう。

 やはりここでも「他のお客様に気を遣えるか」が問われています。

いかがでしたでしょうか。マナーというと他にもあるような気もしますが、バーならではの大まかなものはこんなところです。1、2はホントにバーならでは。他の業態ではさほど気にしないところだと思います。3、4はバーでなくてもあまり褒められたものではないですが、バーでやってしまうとその悪影響が大きいので挙げました。

ぜひ参考にしていただき、他のお客様にも気を遣える紳士淑女になりましょう。

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